今日は珍しく真面目な話。
僕がまだ小学校の低学年かそれより前だったか、そんな時のお話。
小さい頃、僕は飛行機のパイロットか仮面ライダーになりたかった。
何故だかは覚えていないけど、カッコイイとか人を救いたいとか、そんな理由だと思う。
2001年夏休みの終わりがけ。
まだ、朝が早い時間だったかな。
僕が布団に入って寝ていた時、母親が僕を叩き起こした。
ひどく取り乱していたのを覚えている。
僕は誰か家に来たのかな? とか、誰か家族が怪我したのかな? とか、そう思っていた。
小さいブラウン管テレビに映し出された映像。
高層ビルから煙が出ていて、たくさんの人が逃げ惑う瞬間。
路上に書類が散乱し、負傷した人が次々と抱えられながら運び出される。
救助に向かう人々。泣き叫ぶ人や写真を撮る人。思わず呆然とする人。
暫くすると、砂埃がそんな人々を包み込む。
一般市民だけではなくて、消防士や警官らしき人々がそこから逃げ惑う。
最初は飛行機の事故だと言われていた。
僕もそう思っていたし、母親もそう言っていた。
ただ、僕にはそれが衝撃だった。
周りの人たちも事故だと誤魔化したり、深く言わなかったりして、その映像の理由を知ったのは暫く後だった。
ちょっとしてから、戦争が始まって、ちょっとしてから、首謀者が殺害された。
呆気なく、唐突に終わったと思う。
2001年に起きた大きな出来事と、僕にとって忘れられない記憶。
飛行機のパイロットか仮面ライダーになりたかった僕に突きつけられた現実。
そこに置いてきた小さな僕の夢。遠い異国のたくさんの人の犠牲。
忘れられないし、忘れてはいけない。