僕が空手を始めた日②

前回までのあらすじ。

 

僕は親父の影響で格闘技を見て、ピーター・アーツに憧れた。だけど、いじめられて引きこもりなった。というわけで、僕の人生で一番最悪の瞬間から今回のブログは始まる。

今回は前回よりは暗くない。

 

生きてるのか死んでるのか分からず生きていた。僕はその時、その瞬間、本当に死んでいて、何かの手違いで生き返ったのかも知れない。とにかく、その時に何を考えて何をしていたのか覚えていないし、ここでは重要ではない。

 

 

ここからまた話が逸れる。

 

 

僕がなぜ空手を始めたのか、僕が本当に空手が好きだったのかを語る上で、僕の親父がどんな人間だったのかということが重要になるからだ。

 

一言で表すなら「金持ちガキ大将」だった。地主の次男坊で身体の大きなガキ大将、骨川スネ夫剛田武のハイブリットみたいな人間。

 

身内には横柄で外面は大人しい。おまけに、工場勤務で頑固で気性が荒く短気な性格。平成の時代に、机をひっくり返して怒る人間は僕の親父くらいしかないと思う。

 

さて、そんな人間が息子が学校でいじめられていると知ったら何を考えるか?

 

よくある話のように、相手の親を懲らしめる。そんなわけはなかった。

よくある話のように、学校に殴り込んだ。そうなわけなかった。

フライ,ダディ,フライ堤真一みたいにいじめっ子に仕返しをする。そんなわけなかった。

 

答えは僕にとって最悪だった。

僕が学校でいじめれていると聞いた瞬間、親父は機嫌が悪くなった。

 

 

親父自身、自分の息子がいじめられるような弱い奴だったのが許せなかったのかも分からない。別にそれ自体に間違いはないし、親父が最悪というわけではなく、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

 

母親は泣いたし、親父は僕に失望していたし、僕にとってはその瞬間が人生で最悪の瞬間だった。両親を悲しませることが嫌でいじめから逃げていたのに、結局、両親を悲しませることになったからだ。

 

更に最悪なのは、このことで両親が喧嘩したことだった。

 

昔から人を笑わせることが好きで、人を悲しませることと怒らせることは嫌いだった。だから、この状態は13歳くらいの僕にとって凄く辛かった。

 

そして、数十分くらい良心が目の前で喧嘩をしてから、親父がある言葉を切り出した。

 

 

「おい、お前は空手をせえ」

 

 

いや、なんでそうなんねん。今同じ状況になったら絶対に僕はそう思う。

 

 

しかも何故か母親も賛同した。

 

 

こうして僕は呆気なく、空手を始めることとなった。ただ、1つだけ言えることは、僕はその瞬間、少しだけピーター・アーツに近づけた気がした。

 

 

ここでタイトルを回収するならば、これが「僕の空手を始めた日」になるのかも知れない。正しくは「親父が僕の空手を体験入会の申し込みをした日」。ブログはパート3に続くし、まだ終わらない。

 

 

ピーター・アーツに憧れた少年はここでようやく空手を始めることとなる。

 

 

 

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